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N.T.D.I.出張所

鍾乳苑奇譚。

先日ほぼ偶然のように発見した人里離れた廃墟。
元々は「鍾乳苑」という名の山荘だったそうだ。
きっと、近くにある鍾乳洞に因んだ名前だろう。

そんな訳で到着
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時刻は午後4時半、急がないと暗くなってしまう。

今回もG氏とS君が同行したが、やはり突入は私1人で行う。
そりゃ誰だって、こんなトコ好き好んで入らんわなぁ(笑)
いや、ここに好き好んで入る奴が1人居ますが。

「大体一時間位で戻る」
そう告げると私は鍾乳苑へ向かった。

建物に近づいてみる
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建物の右手に十数段の大きな石塔があり、雰囲気を出している。
とりあえず外の様子を見る為に、石塔の左側にある階段を下りていきます。

階段を下りると彼が出迎えてくれる
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「やぁ、いらっしゃい」
こんにちは、遊びに来たよ。
この山荘が閉まってから、僕は何人目のお客さんだい?

この山荘の周りは沢山の池の跡がある。
多分、鱒や岩魚を飼っていたんだろう。
釣堀みたいになっていたのかもしれない。

階段を一番下まで下りてみた
shou10.jpg

人に荒らされる事なく自然に浸食されていく庭。
木々が鬱蒼と茂り、光もあまり届かない。

この建物は山の斜面に建っており、3階部分が玄関になってて、階下に下りていくような形になっている。
一応一階部分にラウンジがあって客用の玄関があるが、今は閉ざされてて開く事は無い。

さて、3階玄関から突入するか。
そう思い、階段を昇る。

…!?

進入ルートの勝手口が開け放たれていた。
おかしい、昨夜確認した時にはしっかりと閉じてたのに?
誰か他の人が進入したんだろうか?

まぁ、今更そんな事を気にしても仕方が無い。
私は勝手口に足を踏み入れた。
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なんだ?この残留物の多さは…
明らかに普通の廃墟とは異質な雰囲気が漂っている。
冷蔵庫は開け放たれ、手付かずのまま朽ち果てた食料が変な色の汁となって、虫が湧いていた。

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食器や調理具、調味料等が全部そのまま全部残され、缶詰や飲み物も開けられる事無く放置されたままな所を見ると、浮浪者が住み着いてるって事は無さそうだ。

台所から廊下へと足を進める
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ストロボで写真は明るく見えるかもしれないが、中は真っ暗だ。
廊下も色々な物が沢山残されたままだ。
以前この山荘へ進入した元自衛官の話では、ここに猪か何かの死体があったそうだが…
そのようなものは見当たらない。

誰かが処理した?

それに、なんだろう?この匂いは…
廃墟特有の埃とカビの臭いと冷蔵庫の異臭…
それとは別に、何か薬品臭いような?

廊下に出たすぐの所の部屋
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あまりにも物が残り過ぎている。

テレビ、ポット、布団、衣類、蝋燭の箱、何かの飲み薬。
まるで突然住人が消えて、そのままになったかのようだ。

この部屋の入り口は、本が大量に散らかっている。
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まるで、本棚を倒したような感じ。

廊下の奥へ進むと、当時の雑誌が積んであった。
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ここから推測するに多分、’96年~97年辺りに、ここは放棄されたんだろう。

それにしても…床に大量にある粒状の物はなんだろう?
カリカリに乾いて粉っぽくなっている。
よく見てみると、それは大量の(もしくはそれに近い何かの幼虫)の死骸だった。

一体ここで何があったんだ?

右奥の部屋に入ってみる。
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先程からそうだが、あまりに残留物がありすぎる。
誰かが戸棚等を物色した形跡も無い。
まるで今も人が生活してるようにも見えるが、埃の積もり方と蛆の死骸がそうじゃない事を物語っている。

ドライヤーやカーラーが無造作に床に転がっている。
そして鏡面台。
残されていた郵便物や表札から推測すると、どうやらおばさんが切り盛りしてたようだ。

次に向かい(左奥)の部屋に入ってみた。
shou18.jpg

やはり生活感を感じさせる程に物が残されている。
編みかけの編み物や入浴剤が床に転がったままだ。
ちゃぶ台の上には石鹸が置いてあったが、ネズミか何かにかじられていた。
そして大量の蚊取り線香と殺虫剤。
先程から気になっていたがこの建物、あちらこちらに殺虫剤が置いてある。

廊下に出て玄関の方向を見てみる
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どうやらこの階は住人の居住スペースになってたようだ。

右側に階段がある。
shou20.jpg

さぁ、下の階へ降りてみよう。

階段を降りると右手に脱衣場があり、奥は風呂場になっている。
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蛇口を捻ってみたが、水は出なかった。

脱衣場の向かいは客室が2つある。
shou22.jpg

「萩」と「桔梗」

まずは萩の間に入ってみた。
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無造作に箱が置かれている。
箱の中には毛布や浴衣が入っていた。

次は桔梗の間
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入り口に灯油缶が置いてある。
部屋の中は何も無く、がらんとしている。

それにしてもこの建物、構造上外の光が殆ど入らない。
窓の無い場所はどこも真っ暗だ。

2階の奥の廊下を進む。
shou25.jpg

やはり床に殺虫剤が転がっていた。
天井は剥げ落ち、床が腐りかけててとても危険。
不用意に足を踏み込むと、床を踏み抜いてしまいそうだ。
ここは水場だったらしく、奥にはトイレがある。
洗剤も液体石鹸もまだ中身が残ったまま。
一番奥は非常口だが、釘が打ってあり扉は開かない。

さて、2階はこんな感じだ。
更に下の階へ進もう。
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外も大分暗くなってきたが、ここは真昼に来ても真っ暗だろう。

階段をゆっくり下りてると

ズッ…ズズズ…

何かを引きずるような物音が聞こえてきた。
以前ここへ潜入した元自衛官が物音を聞いて引き返したという場所に近い。
しかし、音のパターンが違う。
誰かいるのか?私以外の侵入者か?動物か何かか?それとも…?
しばらく気配を潜めて様子を伺ってみたが、何も無いようだったので下へ向かった。

階段の中二階あたりは天井が崩れ始めている。
shou27.jpg

この時、音も無くコウモリが視界を横切った。
ちょっとビックリしたが、コウモリを確認し安心してると

!?

視界の左下の方で、何か平べったい白いモノが階段の下へズルズルと隠れたような気がした。
「???」
何かと思い階段の下を確認してみたが、そこには何かが入れるような隙間は無い。
…気のせいか。

やはりここにも殺虫剤が置いてある。

階段を降りきると、右手側にはラウンジだったらしい場所がある。
shou28.jpg

残念ながら扉が開かず中には入れないので、窓から撮影。
この山荘がやってた頃は、ここでコーヒーや食事を取ったり、夜にはお酒なんかを飲みながら、川の流れる音を聞いてくつろいでいたんだろう。
ちなみに、左側にはカウンターとスピーカーが置いてある。

階段の左側は、またちょっとした昇り階段がある。
shou30.jpg

床が完全に腐り落ちているが、階段は大丈夫そうだ。
奥には鉄の扉が見える。

鉄の扉の中は、完全に床は抜けグチャグチャになっていた。
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どうやら、燃料などを置く倉庫になってたようだ。
部屋の奥に同じ鉄製の扉があり、半開きになっている。
この先は離れのボイラー室に通じてるらしい。
どうやらここからコウモリが出入りしてるようだ。

この部屋に入った時、何かの気配とでも言うか、息遣いみたいなものを感じた。
扉も半開きのまま錆び付いてるようだし、狸か鼬かの類の動物が住み着いてるのかもしれない。

階段を降りて奥に行くと、長い廊下がある。
shou32.jpg

廊下の床も所々痛んでいる。
気をつけて歩かないと、大変な事になってしまいそうだ。
床にはまた殺虫剤が転がってる。

この廊下の右側は大広間になっていて、
shou33.jpg

襖で仕切って小部屋にするような形になっている。
廊下の押入れに「ふとんの上でとびはねたりしないでください」という張り紙があったので、きっと小さな学校の旅行なんかにも使われたんだろう。

…あれ?

窓が開いてる。
shou34.jpg

ご丁寧に、布団まで敷いてある。

一体誰が?何の為に?
やはり、誰か居るのか?
見回してみたが、やはり誰も居ない。
耳をすますが、聞こえてくるのは川のせせらぎと、鳥と虫の鳴き声だけ。

とりあえず…
shou36.jpg

その場で独り記念撮影してみた。

ホントはもっと緊張感の無い顔をしてました(笑)
ちなみに手に持ってるのは、G&P製のT-6フラッシュライト。
120ルーメンの明るさで強力かつ広範囲に照らす心強い相棒です。
こら!シュアファイヤーのパチもんって言うな!!

さて、大方探索したし、真っ暗になる前に戻ろう。
shou37.jpg

慎重に来た道を戻ります。

階段を上がり二階へ。
shou38.jpg

懐かしい形の掃除機があります。

そして3階へ。
shou39.jpg

外はかなり暗くなっている。

昼でも暗い3階の廊下から玄関側を見てみる。
shou40.jpg

ライトを点けないと、こんな感じです。

廊下の奥を見てみる。
shou41.jpg

ご覧の通り、殆ど何も見えません。

さぁ、今回の探索もこれでオシマイ。
shou42.jpg


そろそろこの奇妙な山荘ともお別れです。
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「また遊びに来てね」
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たぬき君がお見送り。

でも残念だけど、もうここへは二度と来ないかもしれないよ。


shou45.jpg


そしてまた、山荘は闇に飲み込まれていく。


後日譚

どうらや過去に、あの山荘で首吊り自殺があったらしい。
それが山荘の客なのか、経営者なのか、廃墟になってから自殺者が出たのか、そこまでは聞いてないから解らない。
それならば、あのおびただしい量のウジも納得がいく。
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  1. 2006/08/09(水) 18:00:50|
  2. 旅行
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
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コメント

うほほ!怖っ!!
蛆はやだー((;゚Д゚)ガクガクブルブルッ
死臭とかなかったんすか?

ん~一人ではいる勇気がスゴイデス。

次も楽しみにしてますよ~。怪我だけは気をつけて下さい。

今日、仕事で親父が一人で別の現場行ってたんですが、警察署の解剖室だったそうですよ。
あまりの死臭にゲロ吐きそうになったらしいです。
中には、ステンレスの解剖台。その周りには、人の体内の油でベタベタだったそうです。オエっ
今日もこの後に2体の腐乱死体を解剖するとか・・・。
んで、親父が帰ってきて一言。
「解剖室だなんて聞いてねーよ・・・・orz」
今日はメシ食えないそうですw

オイラが行けばよかったなぁ。嫌だけど興味津々。
  1. 2006/08/09(水) 19:48:50 |
  2. URL |
  3. ZEN #-
  4. [ 編集]

いやはや、中々不気味な物件でした。
そりゃま、誰か一緒に入ってくれたら心強いですけど、不用意にはしゃいで怪我されても困りますし、「あそこに霊がいる!」とか騒がれても、ムカつくだけでしょうからねー(笑)

しかしまぁ、これ以上の物件ってあるのかしらん?(笑)
それが見つかるまでは、当分次のネタもお預けな予感です。

ちなみに、廃墟臭と乾燥で、死臭はしませんでしたし、残ってもいないようでした。
死臭は何度か嗅いだ事ありますが、本当に気分悪くなりますよー。
お父様、お疲れ様です(-人-)
  1. 2006/08/09(水) 20:40:47 |
  2. URL |
  3. 狸さん@管理さん #-
  4. [ 編集]

>死臭は何度か嗅いだ事ありますが、本当に気分悪くなりますよー。

ええっ!狸さん・・・何者でつか?w
怖いのであえて聞きません((;゚Д゚)ガクガクブルブルッ

沖縄にスンゴイ物件ありますよ。とにかく大きい。山一個分くらいあります。BBSにうpシマス。
  1. 2006/08/09(水) 21:33:45 |
  2. URL |
  3. ZEN #-
  4. [ 編集]

まぁ、人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろっつー事で(笑)

それはそうと、沖縄の物件ですかー。
向こうはスケール違うだろうなぁー(笑)
でも悲しいかな、沖縄まで行く程の気力も財力も無かったり(笑)
  1. 2006/08/09(水) 21:41:37 |
  2. URL |
  3. 狸さん@管理さん #-
  4. [ 編集]

うはー またもや探索ご苦労様でしたー♪
今回も ドキドキしながらスクロールしていましたが
一番驚いたのは 狸さんが写ってる記念写真でした(笑

いやー 風景だけが続いた中で 突然アップだったので「なんか写ったっ!」と 一瞬ドキっとしました(笑

しかしまぁ 今回も何事も無く無事終了で一安心です

  1. 2006/08/10(木) 00:09:43 |
  2. URL |
  3. 方銃 #-
  4. [ 編集]

まぁ、一枚くらいは自分が写った写真が欲しいってのが人情ってなものですからねー。
同行者が居ないから自分で写す→必然的にアップに、と(笑)

今回も何事も無く無事に、つーか何かあったら更新出来ませんて(笑)
  1. 2006/08/10(木) 00:50:04 |
  2. URL |
  3. 狸さん@管理さん #-
  4. [ 編集]

はじめまして。元自衛官

はじめまして。恐らく、お話にあります、元自衛官
でしょうwたぶん。

ドキドキな展開楽しく拝見させて頂きましたw

しかし、同じ体験をされましたようで。
なんでしょね、あの音。。。。

すごいですね、あの場所に泊まるなんて、
考え付きませんと言うか、嫌ですwww

友人から、聞いた話ですが、警察のテープ
が貼られていた(立入禁止の黄色い奴)らしいです。
このHPをみて、話が繋がりました。

今後も拝見させて頂きます。
では、お身体ご自愛し、頑張って下さい。
  1. 2012/04/05(木) 23:25:02 |
  2. URL |
  3. 遺構調査機構 藤本 #-
  4. [ 編集]

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